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松山市が取り組む道後温泉本館だけに頼らない「新たな道後の街づくり」

~インタビュー記事:愛媛県松山市の観光プロモーション事例 後編~

道後温泉本館
道後温泉本館

道後温泉本館の修理は、神の湯棟が1894年に改築されてから、増改築を繰り返してきましたが、近年の大きな改修は昭和61年の霊の湯男子浴室の改修工事です。そのため工事に携わった方々が少なく、ノウハウも乏しい中、どう修理工事を進めるかは難題でした。
本館の営業をしながら修理工事を行うと、現在の正面玄関以外から入ることになる。臨時口をどこに設けるか考えているとき、道後温泉本館が本来大きく4つの建物を集合させた施設だということを思い出しました。その証拠に、道後温泉本館が西玄関なのに対して白鷺は北向きで、ちょうど現在の入り口からは尾を見せているような方向となっていたり、館内の通路の上に屋根の傾斜が見えていたり。よく見ると、建築当時の名残があちらこちらに残っています。過去にあったといわれる一の口、二の口、三の口を臨時入り口として再現する「期間限定で、普段は入れなかった歴史上の扉が開く」というストーリーが動き出しました。修理工事期間中だからこそ実現できることもあるという、逆転の発想が沸いた瞬間です。
「昔の文献などを探し、文化財の価値を検証していく中で、ひとつひとつ気づきが重なったという感じでしたね。自治体が管理していたからこそ引き継がれた資料や気づいたアイデアもある。歴史をさかのぼると、面白いなと思いましたね。」と、坪内さんは振り返ります。

松山市立子規記念博物館所蔵
松山市立子規記念博物館所蔵

SNSの活用は、「それって何?」からのスタート。

情報発信の方法として今回FacebookInstagramなどのSNSを使ったのは、道後温泉のプロモーションにとって新しい取り組みでした。「正直全く意味がわからなくて。SNSなんて、まるで外国語を言われてるような感覚。」と担当者は声を揃えます。担当者が誰一人SNS利用はおろか、登録もしていない。そもそも道後温泉自体のwebサイトすらない状態…。現在はSNSのように人から人へ拡散された情報のほうが行動につながりやすいという動きを聞き、ならばと一念発起。「まず、担当者がSNSに登録し、ひととおり使えるようになるというのが年末年始の宿題になりました。」と、坪内さんは笑います。

social network

PRする以上は、客層や土地に合わせた情報発信のノウハウは必要です。SNS導入に際して、松山市が市内観光地に無料Wi-Fiの整備をすすめていたことは大きかったとか。外国人観光客にとっても観光地にWi-Fiが必須という声は多いといいます。
工事が終わってからも観光PRは継続していく必要がありますが、その手段はリアルタイムで変わっていきます。「半年後には発信の仕方も変わっているかもしれませんからね。どういう人が情報を流していくか、年齢層などもしっかり考えることは大事」と岡さん。予算をかけるだけでなく、どの方法が一番注目され、効果があるのか。時代の流れに沿ったプロモーション手法を積極的に取り入れることも大事と感じたそうです。

道後温泉公式サイト
新設された道後温泉公式サイト。道後温泉本館のほか、道後温泉椿の湯、道後温泉別館 飛鳥乃湯泉の情報を集約し掲載している。
https://dogo.jp

道後温泉公式facebook
Facebookページ https://www.facebook.com/dogoofficial/

道後温泉公式instagram
Instagram https://www.instagram.com/dogoonsen/
FacebookとInstagramは、道後温泉別館 飛鳥乃湯泉の建築工事の進捗状況もひとつのコンテンツとして紹介している。

取材後記:道後の歴史を守りながら、新しい道後をつくる。

自治体が行うプロモーションは予算も限られるため、インパクトを求めてタレントを起用することは費用的にも難しい。だからこそ一時的に効果を求めるのではなく、道後温泉自体の魅力を上げることが大きな目的となった道後温泉プロモーション事業。道後温泉本館の保存修理工事が予定されていることで、道後オンセナートや道後温泉別館 飛鳥乃湯泉の建設にチャレンジする考えが生まれましたが、この背景にはあくまでも「道後温泉本館だけに頼らない道後の街づくり」の構想が大きいといいます。
「道後温泉の本館は四方を道路で囲まれています。ならば、新しい道後温泉別館 飛鳥乃湯泉は建物に囲まれた中庭のある場所にしたいと考えました。道後にはイベントを行うスペースや留まる場所がなかったんです。回遊性のあるところであれば、飲食など、新たな経済効果も見込まれますしね。」と岡さん。

道後商店街

今までのように「温泉に入ったら帰る」という道後から、商店街などに新しい動きが生まれ、感動がはじまっていく。道後が、どんな変貌を遂げていくのか?愛媛のみならず日本有数の観光地としてどう変化していくのか、これからも注目していきたいですね。

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ライタープロフィール

エリアシ編集部

梅木 俊成 《エリアシ副編集長》

デジタルマーケティング担当。
Hub SpotやEloqua、Marketo等のMAを活用したBtoBマーケティング施策や通販向けダイレクトマーケティング、流通向けオムニチャネル戦略等の分野を担当。

大阪市インキュベーションアドバイザーとしてベンチャー企業の支援を行う(ほぼボランティア)。学生時代はスリムだったが、現在は体重0.1t。ライザップのCM出演オファー待ち。

  • ※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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