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~40男のデジタル奮闘記 第6話~いまさら聞けないデジタル・マネジメント

~40男のデジタル奮闘記~ VOL.6

DMC部の人達

image1井之頭 結(イノガシラ ムスブ) 45歳 営業一筋、初めてWEBセクションに。

image2駒場 東(コマバ アズマ) 35歳 実直なアニキ肌。WEB系の能力高し。

image3吉祥寺 円(キッショージ マドカ)31歳 クールビューティー。WEBもOK!

image4神泉 豊(カミイズミ ユタカ)25歳 平成生まれのデジタルネイティブ世代。

image5渋谷 洋子(シブタニ ヨウコ) 23歳 帰国子女デジタルネイティブ。日本語苦手。

井之頭部長の同期

image6池尻 博(イケジリ ヒロシ)井之頭の同期。営業部長だがWEBの知識もOK。

「円さん。なんかおかしいって思いませんか」
唐突に神泉豊が吉祥寺円に語りかける。
「おかしいって、なにが?」
怪訝そうに円が応える。
「だって、井之頭部長、最初は凄く自信なさそうにしてたのに、最近なんかデジタルに詳しくなってるし、新しいアイデアだってどんどん提案してくるじゃないですか」
「そうかなあ、でもそう言われるとそうかもしれないわね」
「ですよねっ。怪しいですよねっ」
「怪しいってそんな・・・、なに言ってんのっ!」
少し怒ったように円が語気を強める。。
「でも、でも。なんか秘密があるんですよ、絶対」
まるで駄々っ子のような神泉をため息交じりで横目に見て、
「そうねぇ、言われてみれば最初の印象とずいぶん違うわねぇ井之頭部長」
「でしょっ、でしょっ、円さんもそう思いますよねえ」
円は軽々しく神泉に同調して、調子づけてしまった自分に後悔した。
「なんか秘密があるような気がするんですよね」
「まあ、なんとなく心当たりはあるけどねぇ」
「えっ、なんですかっ!それっ!」
より調子づけて、さらに後悔する。
(なんてミスしちゃうのっ、ワタシってバカ)
「そ、そ、それなんですかっ!教えてくださいっ」
「はあ・・・」
とりあえず心当たりを話して、なんとか勢いついた若者を収めようとするする円。
「そうね、井之頭部長に入れ知恵してるのは部長の同期の池尻部長だと思うわ」
「えっ、そうなんですかっ」
「池尻部長デジタルリテラシーが高いし、それにあの二人スゴく仲がいいのよ」
「そっかぁ、そうなんだ。なんだか興味湧いてきたなぁ池尻部長。いっかい話聞いてみたいなぁ。円さん連絡してもらっていいですか?」
「えっ、何で私が!それに池尻部長も忙しい方なんだからっ!」
子供を叱るように円が叫ぶ。
「でも、でも、おれ池尻部長知らないし」
神泉が子供のように哀願する。
「え~、しょうがないなあ。連絡して不在だったら諦めなさいよ」
「さすが円さん。恩にきまっす」
円はこの軽い神泉の態度にカチンときたが、どうせ先方も営業で不在だろうとたかをくくって連絡してみる。

「あっ、もしもし池尻部長ですかっ」
運悪く池尻がデスクにいた。あとから考えるととても不躾だったが、先方がいたことに驚き慌てて突然アポを申し入れる。すると、
「いまからいいよ~」
拍子抜けするよな軽い反応であっけなく面談の約束がとれた。

「ちょっとぉ~、アンタが約束とれって言ったからとったんだからね!ちゃんと仕切りなさいよっ!」
「へへへ」
プリプリする円と、これから始まることにどことなくワクワクしている神泉。この対照的な二人は池尻に指定された会議室に向かった。

オフィス イメージ

会議室のドアを開けると、大きな窓から明かりが降り注ぎ広い室内を照らしていた。そこにシルエットで背の高いロマンスグレーの紳士が立ち、爽やかな笑顔で迎えてくれる。

「こんにちは。お待ちしてました」
ロマンスグレーが握手の手を差し伸べる。
「二人とも初めてかな?どうも池尻です」
紳士の柔らかな雰囲気に対して、DMC部の二人は緊張感がピークになる。
「どうも吉祥寺です。池尻部長とは以前お仕事をご一緒に・・・、そのとき私はチームの下っ端でしたが」
「神泉です!僕は初めてです。初めましてっ」
遠慮気味な円に対して、相変わらず神泉は元気いっぱいだ。
「そう。じゃあ改めて宜しくお願いします。ところで今日はどんなご用件かな?」
できる男は話も早い。社交辞令もそこそこに本題へと進める。
「や、あの、えーとですね・・・」
円は緊張の糸が今にも切れそうだ。
「あのイキナリなんですが、池尻部長ウチの井之頭部長にアドバイスしてません?」
神泉が突拍子もなく切り出す。
「ちょっ、ちょっとバカ、アンタなに突然喋ってんのっ!」
円が慌てて神泉を小突く。
「えっ、でも聞きたいことストレートに聞いた方がいいじゃないですか。池尻部長もお忙しいんですから」
「でもねえ、アナタ突然ねえ・・・」
二人は池尻の前でまるで漫才のようなやり取りを披露する。

「ははは、面白いねえ二人は」
その様子を楽しむように池尻が応える。
「何でそんなこと思うようになったの?」
池尻が問う。
「それがですねえ、最初はデジタルのこと疎かった井之頭部長が近頃は課題を発見したり、仮説を立てたり、方向性を示したり、とにかく凄いんですよ人が変わったみたいに」
「そう。頑張ってるなアイツも」
「でも、なんか怪しいっていうか誰か部長にアドバイスしてんじゃないかなって。コントロールされてるのかなって」
「ははは、面白いこと考えるねキミは。円ちゃんもそう思うの?」
(円ちゃん?この人私のこと覚えてた?)
「いえ私は。ただ近頃の井之頭部長は凄いんです」

「なるほど。君たちが感じてる疑問に答えるとしたらハーフ・ハーフかな」
池尻が意味深なことを言う。
「ハーフ・ハーフ?」
「そうハーフ・ハーフ。ふふふ」

「キミたちは有為転変(うい てんぺん)って言葉を知ってる?」
池尻が二人に問いかける。
「ういてんぺん?・・・なんですか、そのういてんぺんって?」
二人にとって初めて聞く言葉だ。
「ふつう知らないよねえ。僕も昔上司から教わった言葉なんだけど、有為転変っていうのは『この世のすべての存在や現象は、常に移り変わるものであり、少しの間もとどまっていないこと』って意味らしい」
「そうなんですか・・・」
腑に落ちていなそうな二人。
「つまりデジタルの世界って止まってないんだよ。常に動き変化し続けてる。だからその変化に臨機応変に対応し行かなくちゃならない。機敏にね」
「そうですよね。納得します」
「井之頭はその点頑張ってるよ。最初はデジタルへの対応力低かったかもしれないけど、今はしっかり対応できてる」
「確かに」
「デジタル対応力が低かったこともよく自覚して、知識をドンドン吸収しようとしてるし、ミンナによく相談するだろ?僕にも問いかけてくる」
「そうですね。部長は思ったこと感じたことをよく投げかけてきますね」
「僕にもそうだよ。自分はこう思ってるんだけどどうかって」
「そうなんですか」
「だからキミたちの問いかけにはハーフ・ハーフ。僕は彼に聞かれたことにはアドバイスするけど、僕からコントロールしようなんて思ったことは一度もないよ」
「ハーフ・ハーフの意味が解りました」
「でもなんでそんなこと気にしてるの?」
「いえ、まあ、その・・・」
池尻の問いかけに戸惑う二人。
「でもだいたい解るよ。新しく出来たセクションで今までの決められたルーティンワークもなく、毎日の変化にさらされて、さらに自分たちの部長は誰かに入れ知恵されてなんて考えたら不安にもなるよね」
「そんな・・・、疑ってたわけじゃないです」
「大丈夫。君たちは井之頭に愛されてるよ。アイツは絶対人を幸せにしたいヤツなんだ」
「そうですね。自分たちも井之頭部長が大好きです」
その言葉を聞いて池尻の顔に満面の笑みが浮かぶ。

「ありがとう。それを聞けてとても嬉しいよ。今日はもう一つ言葉を伝えておこうか」
「なんですか?」
深謀遠慮(しんぼうえんりょ)ってしってる?」
「しんぼうえんりょ・・ですか?・・・いえ、知りません」
「うん。深謀遠慮はね、『深く考えを巡らし、遠い先のことまで見通した周到綿密な計画を立てること』って意味なんだ」
「そうなんですか」
「だからね、毎日は目まぐるしく変化するデジタルの世界の中で大変かもしれないけど、どうか井之頭と一緒に悩み考え遠い先のことまで見据えてやっていって欲しい。僕からのお願いだ。よろしく頼むよ」

池尻の話が終わるのを測ったように携帯が鳴る。
「ああわかった。今から行くよ」
池尻はそう電話に応えてから二人に告げた。
「ゴメン。これから予定があるからそろそろいいかな」
「はいっ。ホントに今日はありがとうございました」
三人は最後にもう一度握手をして会議室を後にする。

暫くして会社のエントランスには二人の中年男が肩を並べ外へ向かう姿があった。

【いまさらながらの文字解説】
有為転変
この世のすべての存在や現象は、さまざまな原因や条件によって常に移り変わるものであり、少しの間もとどまっていない。 また、この世が無常で、はかないものであるたとえ。

goo辞書より

深謀遠慮
深く考えを巡らし、のちのちの遠い先のことまで見通した周到綿密な計画を立てること。また、その計画。

goo辞書より

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プロフィール

wato

wato

出身は日本海側で幼少期から18歳くらいまでを過ごし、光を求めて上京。東京ではkyon2と仕事をするも、田舎者のため一言も声をかけられず撃沈。自分の田舎者ぶりを悲観しつつもなんとかマーケティングの達人になろうとしてマーケティングマスターの資格を獲得。しかし、ちょっと気を抜いてた間に世の中がWEBに席巻されて、驚愕しながら日々を過ごしている今日この頃。

  • ※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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