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失敗しないインバウンドマーケティングの進め方のポイントはペルソナ設計!?

~「新時代を生き抜くBtoBマーケティング入門」~ VOL.3

失敗しないインバウンドマーケティングの進め方
~Attract編~

前回の記事では、インバウンドマーケティング(IM)という新しいマーケティングコンセプトと、そのプロセスで使うマーケティングオートメーションのお話しをしました。いよいよ今回からは実践編がスタート。インバウンドマーケティングの進め方についてです。ポイントは、インバウンドマーケティングは必ずしもマーケティングオートメーションシステムを必要とするものではないということ。繰り返しになりますが、インバウンドマーケティングは、テクニックではありません。「押し付けない」コミュニケーションの考え方です。「押し付けない」ことで最終的には何を狙うのか。それは、訪問客を惹きつける「Attract」です。では、具体的にお話ししていきましょう。

実際に進める前に:準備1

ファンになってもらい推奨してもらうことをゴール設定にしよう

何かを始める時には、まずはきちんとゴール設定をすることから始めなければいけません。では、最新のインバウンドマーケティングでは、何をもってゴールとするのでしょうか。例えば、Hub Spot社ではこれまで以下のようなファネル(漏斗)の考え方で「顧客化することまで」をゴールとしていました。

3stage

しかし、現在では、インバウンドマーケティングメソドロジー(Inbound Marketing Methodology)としてインバウンドマーケティングの考え方を下記のように再定義しています。

5stage

※2013_StateofInboundMarketing_FullReportより抜粋したものに解説を加えてます。
https://cdn2.hubspot.net/hub/53/file-30889984-pdf/2013_StateofInboundMarketing_FullReport.pdf

2つの図を見比べると、何をゴールとするかの違いがよくわかります。以前までの考え方ではクロージング、つまり顧客化するところまでがゴールでした。言い換えれば売ったら終わり、ということになります。しかし、現在の新しい考え方ではDelight(満足)してもらい、推奨者となって、その関係性を継続していくところをゴールとします。つまり、購入してもらった後も引き続き推奨者としての関係性を継続させ、人から人へ伝わる口コミを誘発させて、新たなAttract(惹きつける)の導線を作っていく。これが、今目指すべきゴール設定なのです。

実際に進める前に:準備2

まずは、小さく始めよう

具体的な手法論に入る前に、BtoB企業のよくあるご相談をご紹介しておきます。それは、いきなり全商材・全部署でインバウンドマーケティングを実施したい!というケースです。しかし、現状のマーケティング課題の整理ができてない状態で着手すると、ほぼ失敗します。まずは特定の商材を対象にマーケティング課題を整理し、それから伝えたい相手(ペルソナ)とその購買プロセス(バイヤージャーニー)を設定していくことが重要です。いきなり大きく展開するのではなく、小さくスタートしましょう。そこから発生する運用上の問題や社内のセクショナリズムによる問題等を順次把握していくことがインバウンドマーケティングを成功させる近道となります。

IMを始めよう:STEP1

伝えたい相手を明確にする、ペルソナ設計を行う

インバウンドマーケティングを始める時に真っ先に行うこと。それが「ペルソナ設計」です。ペルソナ設計とは、客観的視点をもとに伝えたい人を調査によって明らかにすることです。「ターゲット設定(またはターゲティング)」という言い方がありますが、ターゲティングとは主観的に理想的な顧客像を描くことをいいます。例えば、「男性30代、開発エンジニア」というようにざっくりと設定するケースです。一方、ペルソナ設定とは、調査に基づき事実ベースでの属性、趣味嗜好、日々の行動をより具体的にし、人物像を細かく設定します。例えば、ラブレターを書く時に「女性24歳、OL、経理事務所勤務」という場合と、それに加えて「広島県出身、おっとりした性格で趣味は旅行、世界一周が夢」というような細かいデータがある場合とでは、当然相手の心に響かせる書き方は変わってきますよね?。つまり、ペルソナ設計をしっかり行うことによって、具体的にどこの誰に対して、どのようなメディアやどのようなメッセージを送るべきかが明確になるのです。
インバウンドマーケティングでは、コンテンツサイトを立ち上げて、自社課題に困っている人に対して有益な情報を提供していきます。ペルソナ設計をするということは、コンテンツを作る際に迷走しないための大切な指標なのです。

ペルソナ設計の例:BtoB企業/部品製造メーカー展示会担当者「加納さん」persona01

IMを始めよう:STEP2

ペルソナ設計の次に重要なバイヤージャーニー設計

次はバイヤー(またはカスタマー)ジャーニー設計です。バイヤージャーニーとは、購買行動のプロセスを設定することです。

初めてインバウンドマーケティングを実施する際は、自覚⇒検討⇒決定という3つの心理ステージに分けて整理するとわかりやすいでしょう。設定したペルソナが、どのような心理ステージにあり、どのように比較検討して、最終的にどうやって購買に至るのか?というプロセスを明確にすることで、どうマーケティングメッセージを伝えるかを定めます。これもペルソナ設計と同様に、調査によって明らかにしていくことが理想です。

バイヤージャーニーの例:加納さんを元にしたバイヤージャーニー
persona02

上記のバイヤージャーニーはBtoB企業に勤めている加納さんの購買プロセスを調査によって明確したものです。その行動プロセスごとで困る時、検索するキーワードを想定し、キーワードに関連する記事コンテンツや、オファーと呼ばれるプレミアムコンテンツを提供していきます。オファーには様々な種類や形状がありますが最も多く使われるのはebookと呼ばれるノウハウを凝縮したPDFデータです。このオファーをダウンロードしてもらう際に名前、所属している企業、メールアドレスなどを取得します。このメールアドレスに対してメール配信をリードの好みに合わせて提供していき、顧客化へと育成していきます。

<注意点>キャンペーン系のオファーは受注率が低い?

「今なら○○がもらえる!」などのインセンティブを利用したキャンペーン系のオファーはあまり提供しない方がいいでしょう。確かにインセンティブキャンペーンはリード数が短期間にすぐ集まります。しかし、その後のメール開封率や問い合わせ率、受注率を見るとあまり効果が高くありません。一方で、ノウハウを凝縮したebookや業界調査資料等をまとめたホワイトペーパー(白書)等は、検索してくるユーザーの「悩みを解決」するものなので、本当に知りたいと思う人のみにセグメントされることになり、結果として受注率は高い傾向になっています。もちろん、インセンティブキャンペーンが悪いわけではありません。しかしBtoB商材はBtoC商材と比べて購入検討期間が長いことや、決済フローが複雑であるため、簡単に購入してもらうことができないことがほとんどです。目的に応じてどのようなオファーを作るか十分考慮しましょう。

IMを始めよう:STEP3

コンテンツ記事を書く!①「キーワード戦略」

Hands showing keywords against white room with large window overlooking city

ペルソナ設定ができ、バイヤージャーニーも考えた。では、いよいよコンテンツの作り方です。
「コンテンツマーケティング」という言葉をお聞きになったことはありますか?コンテンツマーケティングとは、有益で共感性の高いコンテンツを提供することによってペルソナに見つけてもらい、エンゲージメント(良好な関係性)をつくり出すための手法です。コンテンツ作成のポイントは、まず想定するペルソナがどのようなキーワードで検索して、自分が持つ悩みを解決するのか?ということを調べることから始めます。つまりキーワード戦略です。キーワード戦略は「事業軸」か「ペルソナ軸」の2つの視点で考えてみるとわかりやすいでしょう。

・事業軸で考えてみる(=直接的)
これはSEO対策やリスティング広告の考え方と似ています。つまり、ニーズが顕在化しているユーザーがすぐに解決したいと考えるときに検索するワードです。例えば、ダイエットしたいユーザーは、ストレートに「ダイエット 健康食品」等と検索するでしょう。

・ペルソナ軸で考えてみる(=間接的)
インバウンドマーケティングならではのキーワード戦略がここにあります。直接的に「ダイエット 健康食品」と検索するのは、企業からすると明確な見込み客層と言えます。しかし、「ダイエット 健康食品」と検索せずに、「有酸素運動」「腰痛」「無呼吸症候群」等と検索する人は、「ダイエット」には全く興味がない人なのでしょうか。いいえ、それは違います。きっとダイエットができてないことが原因で無呼吸症候群になっているという人もいるはずです。インバウンドマーケティングでは「見つけてもらう」ためにどのような有益なコンテンツを提供するかを重要とします。ですから、すぐに購買に至らない潜在層の検索するキーワードを設定し、見つけてもらった時にコンテンツで興味や関心を引いたり、または悩みを解決することで関係性(エンゲージメント)を作ることが大事なのです。

 

コンテンツ記事を書く!②「ソーシャルリスニング」

記事を書く際にはトレンドな話題を押さえたり、旬なネタ探しをすることが大切。そこで、みなさんの身近な場所にある便利なツールがあります。Yahoo!のリアルタイム検索です。
Yahoo!のトップページの上部一覧にある「リアルタイム」というボタンを押して検索すると、その検索ワードを含むTwitterの投稿を見ることができます。試しに「ダイエット」というキーワードで検索してみましょう。

●Yahooリアルタイム検索
yahoo01

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直近30日間のTwitterの投稿が出てきました。ペルソナが検索する可能性のあるキーワードを検索してそのボリューム量を把握することは、見込み客の量を想定する参考材料になります。また、投稿内容を見ていくことでどのようなことが話題になっているのか?または困っているのか?というコンテンツのネタ探しにもなります。このようにソーシャルメディア上に投稿されている内容を調べることを「ソーシャルリスニング」といいます。ソーシャルリスニングはその時のトレンドを知るのにとても便利な手法ですので、ぜひお試しください。

コンテンツ記事を書く!③「内容を考えよう」

Best Content Concept with Doodle Design Icons.

例えば、あなたが健康器具を販売している企業のマーケティング担当だとします。そして、仮にソーシャルリスニングで「無呼吸症候群」で悩んでいる人Aさんを見つけたとしましょう。ライターであるあなたは、このAさんの立場になった時、どのような情報がもらえると喜ぶかを考えて記事を書くはずです。もちろん、コンテンツの切り口は様々です。しかし、あなたは自社の将来の見込み客として、この人と良好な関係を築くための記事を書かないといけません。
無呼吸症候群の原因は様々ですが、肥満が大きな原因と言われています。例えば、お金をかけなくても無料で使えるカロリー計算アプリの紹介や健康器具メーカーとして提供できる自宅でできる体操方法などが考えられます。または、お医者さんや栄養管理士と提携した、ダイエットのためのレシピコンテンツもいいかもしれません。あくまでも有益な情報を提供して良好な関係性を築くことがポイントなので、自社の製品の自慢話や押し売りは決してしないように気を付けること。コンテンツ内容の考え方には、いくつかポイントがありますので別の記事でまたご紹介したいと思います。

コンテンツ記事を書く!④「タイトルを決めよう」

To do list

本来はカスタマージャーニーを設定する時に、おおまかにキーワード戦略を立てて、記事タイトルを考えていきます。しかし、実際に記事を書いて試行錯誤するうちにこの作業には自然に慣れてきます。それは、カスタマージャーニーの設計(コンテンツ部分)も同様です。「いきなりうまくはいかない」という前提で進めれば気持ちがラクになりますので、まずはどんどんトライしていきましょう。
さて、タイトルを考えるには一定のコツがあります。「数字」です。以下に実際にネット上で爆発的にシェアされた記事コンテンツのタイトルを紹介したいと思います。
※出典:インバウンドマーケティング/すばる舎リンケージ

○オリンピック金メダリストに学ぶ8つのマーケティングのコツ
○ドン・コルレオーネから学ぶ10のリーダーシップ
○社長を「21世紀インターネットマーケティング」に感化させるノウハウ
○エキスパートのようにグーグル検索する12の速攻ワザ

具体的な数字を使うことで惹きつけられるのがわかると思います。また、著名人またはその業界の権威の社名や名前を含んでいることもシェアされた理由と考えられます。普段よく行くコンビニの雑誌コーナーや地下鉄や電車の構内にある売店のスポーツ新聞の見出しなど、参考になる情報はたくさんありますので意識してみるといいかもしれません。

コンテンツ記事を書く!⑤「ソーシャルメディアを活用しよう」

記事コンテンツはワードプレスというCMS(コンテンツマネジメントシステム)を使って作成することが多いですが、せっかく書いた記事なのでFacebookやTwitterでも紹介しましょう。ここで投稿する時のポイントですが、要約した記事内容とタイトルを投稿するだけでOKです。投稿した情報がファンにシェアされると、その情報を見る側は信用して記事コンテンツにアクセスしてくれる可能性が非常に高いです。オウンドメディアとは自社サイトだけでなく、FacebookやTwitterのアカウントを持つという意味もありますので、情報伝達のチャネルとして最大限に活用しましょう。なお、ソーシャルメディア専任の担当がいる企業は少ないとは思いますが、仮に専任の担当者がいる場合は、いいね!やシェア、またはリツイートに対して御礼の投稿を返してもいいでしょう。しかし、最初から完璧にしようとすると継続しませんので気を付けてください。

以上、順を追ってAttractを目的としたIMの進め方をご紹介しました。まずはできるところから着手しよう!と思っていただけたでしょうか?次回はインバウンドマーケティングメソドロジーの2ステップ目であるConvert(リード化する)についてご説明します。

インバウンドマーケティング導入ガイド入門編Vol.4

ライタープロフィール

エリアシ編集部

梅木 俊成 《エリアシ副編集長》

BtoB/CRM/DMP/オムニチャネル/通販/EC領域を中心に、半導体や製薬、アパレル等
様々な業界でデータ分析に基づいた戦略設計・戦術プランニングから実施・効果
検証までワンストップで担当。近年はHubSpotやPardot等のMAやSFA導入に注力。

大阪市インキュベーションアドバイザーとしてベンチャー企業の支援を行う(ほぼボランティア)。学生時代はスリムだったが、現在は体重0.1t。ライザップのCM出演オファー待ち。

  • ※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
  • ※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。
インバウンドマーケティング 導入ガイド入門編vol.1

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